卵巣は、別名「沈黙の臓器」ともいわれ、膿腫ができてもほとんど自覚症状が ありません。膿腫が大きくなると膿腫に栄養をとられ、ちゃんと食べているのに どんどんやせてしまうこともあります。さらに、下腹部が膨らんでくると妊娠を 疑い、卵巣の病気とは思わない人も多いもの。なかには中学生がこの病気に かかることがあるので、症状が表れたら、すぐに病院に行くことをおすすめします。
また、膿腫がこぶし大より大きくなると、下腹部が膨らみ、腹部が引っ張られてつるような違和感があり、時には腰痛の原因になることもあります。 さらに大きくなると、卵巣が根元からねじれることで下腹部に激痛が走り、ショック状態に陥ることもあります。この場合、膿腫のねじれた部位から血行が途絶え、卵巣の細胞が壊死(一部の組織・細胞が死ぬこと)してしまうため緊急手術が必要になります
機能性嚢腫
排卵時に卵子を入れる袋(卵胞)が大きくなります。卵胞が破裂することで卵子が飛び出し排卵が起こりますが、機能性嚢腫とは卵胞が破裂せず、そのまま残り排卵が起こりません。
単純性嚢腫
単純性嚢腫とは、嚢腫の中に水のたまる良性の腫瘍。大きくならなければ経過観察だけでも大丈夫ですが、まれに悪性のものがあるため、経過観察は欠かさず行うようにしましょう。
成熟嚢胞性奇形腫
皮様嚢胞腫、類皮嚢腫とも言います。嚢腫の内部に骨、頭髪、歯などができる腫瘍(しゅよう)で、次第に大きくなることが多いです。手術が必要となることが多いうえ、がん化することがあるので経過観察が必要です。
子宮内膜症性嚢腫
子宮内膜が子宮の内側以外にできる腫瘍です。巣に子宮内膜ができると卵巣内で月経が起こり、その血液によって腫瘍がチョコレート色に見えることからチョコレート腫瘍ともいいます。
卵巣嚢腫が見つかっても、良性で症状がない場合は治療をしないこともあります。その場合、定期検診にて腫瘍が大きくなったかどうかを経過観察しますが、ある程度以上に大きくなってしまった卵巣嚢腫は、腹腔鏡手術(お腹を切らず、カメラや電子メスで行う手術)と開腹手術で部分切除や摘出が行われます。手術方法は嚢腫の大きさや良性・悪性の判断によって選択肢が変わってきます。
卵巣嚢腫(のうしゅ)摘出手術
卵巣の正常な組織を残し、腹部を切開(8~10cm)してから腫瘍のみを摘出します。卵巣嚢腫摘出術は、悪性の可能性がないものに適用される手術方法です。
腹腔鏡(ふくくうきょう)手術
腹部に小さな穴を数ヶ所開け、お腹の中を炭酸ガスで膨らませ、腫瘍のみを摘出します。腹腔鏡手術は回復までの時間や入院期間は短く、傷も小さく、痛みの少ない手術方法です。
付属器摘出手術
卵巣と卵管を摘出する手術方法です。このほか、卵管を残し、卵巣のみを摘出する卵巣摘出術もあります。
【ケース1】 開腹手術による手術 入院日数は10~14日程度 |
12万~18万円 |
---|---|
【ケース2】 腹腔鏡(内視鏡)による手術 入院日数は5~7日程度 |
20万~35万円 |